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参考資料

転ばぬ先の「消費者庁食物アレルゲン表示に関するQ&A」

食物アレルゲン表示は、万が一の事故を防ぐために基本的に消費者のリスクを抑える方針で作成されています。しかし、科学的にゼロの状態を突き詰めていくと多大な管理コストになるため、どこかで線引きをする必要があります。

消費者庁Q&Aでは、この現実的な線引きの考え方を示しています。問題になりやすい事項を読んでおくことで食品表示の誤りを防ぎ消費者に正しい情報提供ができます。

以下は消費者庁「Q&A別添 アレルゲンを含む食品に関する表示」の中から疑問が生じやすい事項を抜粋しています(一部表現を変えています)。

・添加物の微妙な残存はどうするか⇒表示する

・特定原材料はどこまで原材料に含めて表示するか⇒最終製品を検査して判断する

・特定原材料に準じる品目を表示対象に加えているか表示すべきか⇒特定品目のみを対象とするか準特定品目までを対象にしているか出来るだけ表示すべき(努力義務)

・特定の特定原材料等を使用していない旨の表示は、当該特定原材料 等が含まれていないと同じ意味か⇒同じ意味ではなく、使用していなくてもコンタミしている可能性はある。しかし、消費者は特定原材料が含まれていないと期待するケースも考えられるためコンタミ防止の徹底を図るべき

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1)添加物の中の微妙な残存も表示する必要はありますか。

加工助剤※1及びキャリーオーバー※2等、添加物を含む旨の表示が免除されているものであっても、特定原材料等に由来する添加物に係る表示では次のとおり表示することとされています。

① 特定原材料7品目に由来する添加物の場合、添加物の表示が免除されているものであっても、特定原材料については、表示する必要があります。

② 特定原材料に準ずるもの21品目に由来する添加物の場合、添加物の表示が免除されているものであっても、特定原材料に準ずるものについては、可能な限り表示するようにします。

 

(2)微量な特定原材料を含む場合の表示は、どこまで原材料表示として表示する必要がありますか。

健康危害防止の観点から、食物アレルギーを誘発する量を考える際には、特定原材料等の抗原(特定タンパク)量ではなく、加工食品中の特定原材料等の総タンパク量に重きを置いて考えることになっています。

アレルギー症状を誘発する抗原量に関しては、総タンパク量として一般的にはmg/ml濃度(食物負荷試験における溶液ml中の重量)レベルでは確実に誘発し得るといえますが、数μg/ml濃度レベルでは、アレルギーの誘発には個人差があり、ng/ml濃度レベルではほぼ誘発しないと考えられています。

このことより、数μg/ml濃度レベル又は数μg/g含有レベル以上の特定原材料等の総タンパク量を含有する食品については表示が必要と考えられる一方、食品中に含まれる特定原材料等の総タンパク量が、数μg/ml濃度レベル又は数μg/g含有レベルに満たない場合は、表示の必要性はないとされています。

さらに、微量原材料の表示の必要性の判断に関しては、製造段階のある点を基準に判断することは、技術的にも難しく、また、ある点を基準にすれば、最終製品中の特定原材料等の残存量にばらつきが出ることから、最終製品の中に残存する特定原材料等の量によって判断することが妥当です。

 

(3)表示義務のない特定原材料に準ずるものについても、表示対象としている かどうかについて情報提供を行うべきですか。

特定原材料に準ずるものについては、表示が義務付けられておらず、その表示を欠く場合、アレルギー疾患を有する者は当該食品が「特定原材料に準ずるものを使用していない」又は「特定原材料に準ずるものを使用しているが、表示がされていない」のいずれであるかを正確に判断することが困難となっています。

このため、「この食品のアレルゲンは特定原材料に準ずるものを含めて対象範囲としています。」、「この食品は28品目のアレルゲンを対象範囲としています。」、「アレルゲンは表示義務品目のみ対象範囲としています。」、「アレルゲンは義務7品目を対象範囲としています。」、「アレルゲン(28品目対象)」、「アレルゲン(特定原材料のみ)」、「アレルゲン(特定原材料に準ずるものも含む)」等、対象範囲について、特定原材料7品目のみを対象としているのか、特定原材料に準ずるものを含む28品目を対象としているのかが明確となるように一括表示枠に近接した箇所に表示するよう努めることとされています。

ウェブサイト等を活用して、消費者等に情報提供することも有用です。

 

(4)特定原材料等を使用していない旨の表示について具体的に教えてください。

(3)のとおりアレルギー表示の対象が、特定原材料7品目又は特定原材料に準ずるものを含む28品目であるかを明確に表示するよう努めることとされています。

また、「特定原材料に準ずるものを含むであろう」とアレルギー疾患を有する者が社会通念に照らし認識する食品については、当該特定原材料に準ずるものを使用せずに当該食品を製造等した場合であって、それが製造記録等により適切に確認できる場合には、当該特定原材料に準ずるものを使用していない旨を表示することが望ましいと考えていることから、「使用していない旨」を一括表示枠外に表示します。

例えば、一般に「フルーツミックスジュース」には「りんご(特定原材料に準ずるもの)」を使用していますが、「りんご」を使用しないで「フルーツミックスジュース」を製造したことが適切に確認された場合には、「本品はりんごを使っていません。」と表示します。なお、特定原材料等を使用していないと消費者が一般的に認識する場合、例えば、ミネラルウォーターに大豆を使用していない場合にまで、「本品は大豆(特定原材料に準ずるもの)を使っていません。」と表示する必要はありません。

 

)特定の特定原材料等を使用していない旨の表示があれば、当該特定原材料 等が含まれていないと考えてよいですか。

「使用していない」旨の表示は、必ずしも「含んでいない」ことを意味するものではありません。これは、表示をする者が、特定原材料等の使用の有無について、製造記録などにより適切に確認したことを意味するものです。

例えば、一般に「ケーキ」には「小麦粉(特定原材料)」を使用していますが、「小麦粉」を使用しないで「ケーキ」を製造した場合であって、それが製造記録などにより適切に確認された場合に、「本品は小麦(粉)を使っていません」と表示することができます。しかし、このような場合であっても、同一の調理施設で小麦粉を使ったケーキを製造していた場合、コンタミネーションしている場合がありますので、この表示をもって、小麦が製品に含まれる可能性を否定するものではありません。

このため、「使用していない」旨の表示をする場合は、コンタミネーションの防止対策の徹底も図るなど、できる限り、アレルゲンの混入を防止するよう努めることとされています。

 

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その他、「Q&A別添 アレルゲンを含む食品に関する表示」に混同しやすい項目が掲載されていますのでご一読をお勧めします。